コーポレート・ガバナンス、わざわざ難しい単語を使う必要があるのかどうかは別として、あまり実務では耳にすることも無いでしょうが、仕組みを知っておく事は大切ですし、これも社会常識の一つです。コーポレート・ガバナンスとは、企業統治と呼ばれます。簡単に言うと企業中での上下関係のようなものとご理解ください。
話をすり替えて、政府を見てみましょう。社会の授業で出てきました三権分立を思い出してください。国会は国の最高意思決定機関であり、国会に任命された総理大臣率いる内閣が行政を行います。これらが健全に機能しているかを司法である裁判所がチェックします。
これと同じ事が企業にも当てはまります。
国会に位置するものが株主総会です。株主の決議により任命された代表取締役および役員が経営を行います。これらがうまく機能しているかをチェックする機関として監査役会が置かれています。
さて、企業の規模が大きい場合を考えてみますと、多くはホテルのワンフロアを貸しきって1000人規模の株主総会が開かれます。この株主総会において経営についての質疑応答が行われたり、代表取締役や役員の継続・任免が決議されます。代表取締役は株主総会において経営が適正に行われている事を報告します。監査役会は代表取締役が合法的に経営を行っているかの業務チェックと、業績を正しく報告しているかの会計チェックの2つが主な仕事で、常時チェックする監査役が役員室や会計部署にいる事があります。この「株主総会」「代表取締役の経営」「監査役会」が、規模の大きな企業では正しく機能しています。
では規模が小さい会社はどうでしょうか。株主総会の出席者は非公開株を所有する主に身内のみのしゃんしゃん総会。経営はワンマン社長が聞く耳持たずの精神で突っ走り、監査役会は無し(法的に監査役会は大企業のみが設置義務を負う)という事もあり得るのです。法的にも問題は無く、これが悪いわけではありません。また経営者のインパクトが大きな会社であればあるほど口を挟む余地も無いでしょう。であるがゆえに、不祥事を起こすかどうかは、代表取締役の倫理観に大きく左右されます。経営者を見極める目を従業員が持つということが重要になるとも言えます。
さて、規模が小さな会社でも、正しく会計監査を行う方法があります。その機能を担うのが税理士や公認会計士です。申告できる経費、できない経費を見極めてくれますし、知らない間に脱税(申告漏れ)してしまっていた、ということも最低限防ぐことが出来ます。税理士さんとは非常にありがたい存在なのです。