経営学

株式会社って何?

株式会社や有限会社は何なのか。素朴な疑問ですね。自分の会社が株式会社なのか、有限会社なのか、合同会社なのか、もしくはそれらの名称が無いのか。非常に気になるところです。簡単に説明をしてみたいと思います。

まずはこれらが何なのか。これは会社の種類と考えてください。会社は会社法という法律に基づいて定められています。2014年現在、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4形態が存在しています。有限会社がありませんが、これは法律が変わり、有限会社は2005年に存在する会社だけに限り、新設は認めませんよとされたためです。なお、個人事業主は会社法上の区分には含まれません。

今回は、最も身近な株式会社見て行きましょう。
任天堂株式会社、ソニー株式会社、トヨタ自動車株式会社、ヤフー株式会社、株式会社日立製作所。大企業はみな株式会社が付きますが、株式会社でなければならないわけではありません。
株式会社は、社名(商号・屋号)に株式会社を入れる事が、法律で定められています。社名の前につけても、後につけても構いません。株式会社なになに を前株(まえかぶ)、なになに株式会社を後株(あとかぶ)と言います。実務では、社名を聞く際に「御社は前株でしょうか?」という形で聞かれる事があります。覚えておきましょう。

さて、株式会社は株式を発行し資金を調達することが出来ますが、すべての会社が東京証券取引所などで取引されているわけではありません。株式会社であっても株主が経営者1人だけという会社はたくさんありますし、東京証券取引所などを介さずに資金調達をすることも可能です。ただし、株券を発行するかどうかは事前に届け出をしなければなりません。

 

株式会社を作る場合、定款(ていかん)と呼ばれる会社の決まりを定めなければなりません。先ほどの前株や会社名も定款で定めます。定款の記載は会社により様々ですが、会社名をどうするか、どういう事業を営むか、本社はどこに置くか、株式は何株まで発行するか、株主総会はどう進めるか、取締役は誰か、決算はいつか、といった情報が記載されています。

上場企業ではウェブ上に定款を掲載している事が多いので、ぜひ一度見てみると良いでしょう。【会社名 定款】で検索するとすぐに見つかります。例【任天堂 定款】

株式会社と聞いてイメージされるのが、株主総会です。株主総会では1年の業績報告や今後の方針について、株主に対して説明が行われます。増資や減資、配当金の決定や役員報酬の決定、役員選任や解任、合併買収などについて議題が提示され、議決されます。日本の場合「物言わぬ株主」と言われ、株主は配当が目的であり経営に介入しない事がほとんどでした。しかし最近は物言う株主が増え、欧米化していると言われます。会社としては出資してもらっている立場であり、出資者への説明責任があるので、丁寧に対応します。

ほとんどの場合、議題は異議なく可決されていきます。また異論が出ないように進行させる場合もあります。これをしゃんしゃん総会と呼びます。株主が参加できるのが終了時の手締めしか無いという行為に由来しています。

また株主総会は株主が代表取締役1人である場合でも開催する義務を負います。これは記録的な意味しかなく実態は伴いません。「株主の出席があったため、代表取締役山田太郎は議長席につき、開会を宣言した。」「上記の議題に対して株主の賛同を得たため、議長山田太郎は会議の終了を告げた。」という一人芝居になりますが、それでも国に対して提出しなければなりません。

さて、大企業はもろもろ株式会社ですが、なぜ株式会社である必要が出てくるのでしょうか。
株式会社のメリットはなんといっても信用です。株式会社という冠が付きます。これはいわゆる法人格と呼ばれるもので、会社としてしっかりと経営していることの証明にもなります。株式会社山田商店 と 山田商店ではうけるイメージが違いますね。会社名義の銀行口座を作ることも出来ます。株式会社にすることはビジネスとして円滑に物事を進めるために必要なことなのです。

最後に、株式会社は有限責任です。倒産したとしても、出資者は出資額を超える債務を負わない事になっています。つまり、自分が投資した額以上に負債を背負うことは無いのです。株主が100万円を出資した後で会社が倒産しても、株主は100万円が失われますが、それと別に返済に協力する義務を負わないという事です。
これは会社役員も同じで、倒産した場合でも会社の資産を放棄するだけで、それ以上の返済はしなくても良いのです。

実務の場合、借入金の連帯責任として経営者が担保することが良くあります。家を抵当に入れる事もあります。これは家という不動産を担保にしてお金を借りるという事です。この場合会社が倒産するとその返済義務は連帯責任者である経営者に課されます。経営者に支払い能力が無い場合は、抵当対象の家が差し押さえられる仕組みです。会社が倒産して家を失う、というのはこうした理由です。連帯責任にはご注意を。