経営学

法人格とステークホルダー

会社は孤立して活動することは出来ません。会社には様々な利害関係者が存在します。経営学用語で利害関係者とはステークホルダーと呼ばれます。ステークホルダーとは具体的に、株主、従業員、お客様、取引先、金融機関、地域住民、政府を示します。

会社、とくに起業した会社の場合は法人格を所有しています。法人格とは、企業に法的な人格を与えるもので、法人になれば個人と同じように銀行口座も作る事が出来ますし、住民税も納税します。法人とステークホルダーはいわゆるご近所付き合いのようなもので、互いに利益になることを喜び、互いに迷惑になることは避けなければなりません。社会的責任と呼びます。

納税は遅延なく行わなければなりませんし、給料や売買の支払も遅れてはいけません。労働環境をしっかりと整える事は当然で、最近では社会的貢献も重要と考えられるようになりました。
植林活動や難民支援、地域清掃活動や募金寄付活動などは、この社会的貢献を果たしていると言えます。入社した際に店舗周辺のゴミ拾いをお願いされるのは、会社が地域に迷惑をかけないように、または会社が日頃お世話になっている当然の行為として行うものなのです。

さて、経営学においてこのステークホルダーとの利害調整は、ただ単に責任を果たしましょう、というだけでは不十分です。会社の目的は利益追求ですので、利益に通じる仕組みにしなければなりません。もちろん社会的貢献を行う事だけでも相応の企業イメージの向上になりますので、参加者または地域との今後の付き合いは自然と生まれる事でしょう。しかし例えば地域清掃活動をしながら参加者にお礼と同時にクーポン券を配布したり、試供品をプレゼントしたり、またはウェブ参加型の取り組みを実施し口コミを狙うなど、売上向上につながる仕組みを作りたいところです。

~経営学的考察~
社会的貢献はいつから始まったのか。
最近経営の分野ではこの慈善事業を声高に掲げるようになってきましたが、最近始まったものかと言われると実はそうではありません。例えば大手百貨店では、取り扱う商品の中でも文化財的価値の高い商品については、自社で保有し、美術館などに展示したりしています。例えば大丸百貨店では人間国宝の仕立てた着物を自社で管理保管しています。またブリジストンでは経営者が石橋記念美術館を設け、市民が自由に文化財を楽しめるようにしました。その他多くの企業が、環境整備活動として植林や間伐作業をし、時には山ごと買って保護することもあります。企業が社会的責任を果たすことへの要求が声高に叫ばれるようになったのは、1950年代以降の公害問題が表面化してからですが、実際に企業と利害関係者との活動はもっと古くから行われています。それは寺社仏閣への寄付などを見れば明らかで、打ち水をしたり、祭りに参加したり、企業として地域行事への参加という意味では江戸時代には既に始まっていたとも考えられます。

インターネットの普及で、環境活動報告をウェブサイトに掲示するようになったり、グローバル化から世界的に責任を果たす要請が大きくなったように感じますが、日本企業は古くから地域に根づいた活動をしているのです。むしろ、我が社は環境整備に力を入れているぞ!と声高らかにアピールすることは日本的とは言えないかもしれませんね。