第1問 株式会社の役員に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- a 定款で定めれば、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上の割合を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって、監査役を解任することができる。
- b 定款で定めれば、増員として選任された監査役の任期を、他の現任監査役の任期の満了する時までとすることができる。
- c 公開会社でない株式会社は、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社でない限り、取締役の任期について、定款で定めることにより、選任後 10 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで伸長することができる。
- d 正当な理由なく取締役を解任された者は、解任によって生じた損害の賠償を株式会社に対して請求することができる。ここでいう損害には、残存任期中に支給を受けるはずだった取締役の報酬等も含まれる。
読むのも面倒な内容に感じますよね。
- a 定款で定めれば、議決権が3分の1以上集まったら、その半分以上が賛成すれば監査役をやめさせていい?
- b 定款で定めれば、新しく監査役を選んだ時に、その任期を今いる他の監査役の任期と一緒にしてもいい?
- c 上場していなければ、定款に書けば取締役の任期を10年以内で決めてもいい?
- d なんか分からんけどクビにされた取締役は、クビにされたせいで損したり、もらえるはずだった給料を会社に請求できる?
ざっくりとしていますが、上のような内容。
株主総会の決議について 条文
第309条
株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
これも読むのが面倒ですが、会社法の309条の文章です。
簡単に言えば、株主総会で普通何かを決めようとする時は、議決権を行使できる株主の議決権の数が半分以上集まったら株主総会を開催していいよ、定款で決めてる場合は別。でも定款で決めても3分の1未満にはできないよ。
決める時は、集まった議決権の数のうち半分以上が賛成したら決まりって事で!
でも次の項目に該当する場合は議決権の3分の2以上が賛成じゃないとダメだよ。
1.会社の買収
2.自社株買い
3.全部取得条項付種類株式の取得
4.株式の併合
5.株式の発行、割当て
6.新株発行、割当て
7.役員及び会計監査人の解任
11. 定款の変更 身売り 解散
12. 組織変更、合併、分割、株式交換、株式移転
という事。
aの問題だと、
という事だった。
定款で定めれば3分の1の議決権さえ集まれば開催できるから前半は正しい。でも監査役や役員をやめさせる場合は3分の2の賛成が必要なので、ここが違いますね。ちなみに選任するときは賛成が半数以上でOK。
監査役の役割と任期
監査役というのは、会社が正しく運営されているか、取締役がちゃんと仕事をしているのか見守る人。お目付役、見張り。
なので監査役はとても大事な役職だよ、という事をまず頭に入れておきましょう。
その上で、とても大事な役職なので、任期は短縮できません!しかも4年以内に終了する事業年度の最後のものに関する定時株主総会までとされています。大事なのは、4年以内に終了するときの決算までじゃなくて、それを株主にきちんと報告する日まで、ということですね。
ちなみにとても大事な役職だから、3分の2以上の賛成でないと解任させられないんですね。(取締役は過半数なのに)
bの問題ですが、現在監査役の人の任期と同じ(短縮)にしてはいけません。4年以内に終了する事業年度の最後のものに関する株主総会の日までです。
という事で、cとdが正しいのですが一応見ていきます。
取締役の任期は通常2年。正しくは「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」です。
任期は短くしたり長くしたりできます。長くするときは、最長10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで、非上場企業であって定款に定めた場合に限り可能です。
これも認められています。