第9問 意匠法に規定される秘密意匠制度は、意匠登録出願人が、意匠権の設定の登録の日から3年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる制度である 意匠法第 14 条。これは、先願により意匠権を確保して おく必要があるものの、直ちに当該意匠の実施を行わない場合に意匠公報が発行されることによる第三者の模倣を防止しようとする趣旨によるものである。
このような秘密意匠制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 甲は、出願公開された特許出願を意匠登録出願に変更した。この場合、当該変更出願に係る意匠はすでに新規性を失っている。したがって、これを秘密にすべき利益を失っているため、甲は、その意匠登録出願について秘密にすることを請求することができない。
イ 乙は、本意匠 A とそれに類似する関連意匠 B を同日に意匠登録出願した。この意匠登録出願の際、乙は、A のみを秘密にすることを請求していた。この場合、その期間が経過するまで、B についても秘密にすべき利益を保護する必要が 生じる。したがって、B に係る意匠登録出願の願書に添付した図面の内容が意匠公報に掲載されることはない。
ウ 丙は、意匠登録出願前に意匠が記載されたカタログを重要顧客に頒布した場合であっても、その意匠を秘密にすることを請求することができる。
エ 丁は、パリ条約の同盟国において意匠登録出願をした。その意匠が公報に掲載された後に、丁が日本国においてこの意匠登録出願に基づきパリ条約による優先権主張を伴う意匠登録出願をするときは、既に当該意匠を秘密にすべき利益を失っている。したがって、丁は、その意匠を秘密にすることを請求することができない。
意匠権というものは製品販売より前に申請することができます。秘密意匠というのは、製品化される前に模倣される事を防止しようという意図で作られていて、意匠権を持っている意匠権者の保護が目的です。
そのため、「意匠権を出願する人全てに認められた権利であること」が前提であることを理解すると問題に惑わされることはありません。
つまり、意匠権を出願すれば、誰にでも秘密にしておく権利はありますよ、ということです。
その上で、秘密にしておける期間が3年間であること。申し込みには申請と同時か、第1年分の登録料支払いと同時かの2回機会があること、第三者の開示請求に同意すれば開示が可能なことを理解しておけば、秘密意匠権は大丈夫だと思います。
ア は、特許出願から意匠登録出願に変更したから、新規性がなくて秘密意匠登録申請できないということはありません。
イ は
ウ は意匠権申請前にカタログを発行されているので新規性が認められないのですが、例外として申請が可能なケースになるので正解です。
エ は意匠登録ができる場合においては秘密意匠権も設定可能となります。