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第25問
当社は製造に必要なある共通部品を3社から仕入れている。手元にある各社の在庫部品からいくつかを抜き出して、それぞれの重量を計った(下表参照)。在庫部品の平均重量が仕入元によって異なるかどうかを知りたい。
その方法に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

解答群
ア 3社のデータについての比較なので、多元配置の分散分析を利用する。

イ 3社のデータについての比較なので、分散分析では群間の自由度は2になる。

ウ 5%の有意水準で2社間の平均値の差の t 検定を3回繰り返して、いずれも有意差が出ないならば、5%水準で差がないといえる。

エ 平均値の差の t 検定を任意の2社間で繰り返すと、検定の多重性による第二種の過誤が大きくなる。

かなり難問です。出題分野としては統計解析に属するものです。

まず分散分析についてです。

分散分析には一元配置と多元配置の2パターンがあります。簡単に言えば、どの要素をどれだけみますか?ということなのですが、今回は「重量」という1つの要素を見るので、それがたとえ100社のデータ比較であったとしても一元配置の分散分析となります。

これが例えば「重量」と「ロット」のように要素を増やしていくものが多元配置と呼ばれるものです。

群間の「群」とは母集団のことです。今回は3社の集団ですから、群数は3となります。群間の自由度は、群数から1を引いたもののことなので、群間の自由度は2となります。

自由度は自由に決められるものの数と理解できます。n-1が自由度ですが、たとえばnが5だったとします。例えば合計が10となるように定められた場合、1〜4は自由に決められます。1つ目〜4つ目の数字は1+2+3+4で10でも良いわけです。ですが5つ目の数字は、この場合「0」しかありません。このように、自由に決められる数字の数は、n個あるうちの1個を除くすべて、つまりn-1個というわけです。

正解はイです。

ウとエはt検定についての記述です。t検定は2つの変数の平均比較をするものです。

検定の前提に、仮説をたてるという考え方があります。その仮説は、知りたい内容(今回で言えば「仕入元ごとに平均は異なる」)と、それを検証するための反対の仮説(仕入れ元ごとに平均は異ならない)という2点を用意します。

知りたい内容を対立仮説、反する内容を帰無仮説と呼びます。検定はそもそもこの帰無仮説を「却下」して対立仮説が正しかったというアプローチを取ります。

有意水準5%というものは、5%の確率で誤った判断を下してしまう可能性がある、というものです。t検定は3回以上繰り返すことを良しとしません。それは有意水準を引き当てる可能性、つまり帰無仮説が正しいのに棄却してしまう可能性が高まるということです。これを第一種の誤り(第一種の過誤)と言います。

では第二種の誤り(第二種の過誤)とは何かということですが、これは帰無仮説が正しくないのに棄却しないことです。

中小企業診断士試験では実際の検定の計算までは扱うことは無いと思われますが、検定の考え方や理解についてはこのレベルで求められるので難易度は高いですね。ただ今回全く計算をしていないことに気づくと、少し気が楽かもしれません。