第1問 ある機械加工職場における生産リードタイムの短縮を目指した改善活動に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 処理を開始してすべての処理を完了するまでの総所要時間を短くするために、ディスパッチングルールを変更した。
イ 流れ線図を作成し、「設備間の距離×物流量の総和」を計算してレイアウトを変更した。
ウ 納期管理を徹底するために、PERT を使ってロットサイズを変更した。
エ マンマシンチャートを作成し、作業者の作業手順を変更した。
改善活動
機械加工職場での生産リードタイムを短縮することは、生産性の向上に大きな影響を与えるので、様々な手法でリードタイム短縮が行われます。
まず対応が可能な機械に、どんな手順で作業を行わせるかをルール化することは重要です。生産現場では仕掛品が前行程から流れてきます。それを、先に届いたものから作業に取り掛かるのか、作業時間が少ないものから作業するのか、納期が短いものから作業するのか、というルール化によって効率的な生産が可能となります。その効果として、作業の総所要時間の短縮化が実現できます。
また物の流れを分析し、どこに無駄があるのかを見つけるには「流れ線図」が有効です。これは停滞、運搬、加工、検査の4つの要素から無駄を洗い出すやり方です。
流れ線図は、生産する製品ごとに記入します。製品によって製造ラインが異なることもあるからです。作業台の位置や加工機の位置を記した生産行程の地図を描き、そこに生産に伴う材料や仕掛品の流れを矢印で書き込みます。停滞などの時間や移動距離などが書き込めるので、無駄な動線チェックに使われます。設備間の距離と総物流量を掛け合わせて、大量の物流量が長距離運ばれるような無駄を見つけることができます。
PERTとはProgram Evaluation and Review Techniqueの略語で、プロジェクトをアローダイヤグラムを使ってしっかりスケジュール管理しましょうというものです。1つの製品ができるまでには様々な作業が同時進行で展開されます。作業スタートから作業完了、ここでは受注(または取り掛かり)から納品までをアローダイヤグラムで作って組み立てたことが選択肢から読み取れますが、ロットサイズの変更との結びつきがありません。ただし、設問にあるようなリードタイム短縮には用いることができます。
マンマシンチャートは人と人、人と設備の関係時間を1枚の用紙にまとめ、それぞれにどのような作業内容、時間、動作をしているのかを見ることができます。MMチャートと省略されることもあります。それぞれの時間や作業を分析するので、手待ち時間がどの程度あるのかを客観的に把握することに有効です。