第22問
工場内で利用される産業用ロボットに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 運転中の作業者への危険を回避するため、労働安全衛生法の規制対象となる産業用ロボットを運転する際には、柵または囲いを必ず設けなければならない。
イ 垂直多関節型ロボットは、上下方向に部品を強く押し込んだりする作業の自動化に向いている。
ウ 水平多関節型ロボットは、多方向からの複雑な作業の自動化に向いている。
エ 労働安全衛生法の規制対象となる産業用ロボットの可動範囲内において教示等を行う作業者は、同法で定める特別教育を必ず受講しなければならない。
産業用ロボット
そもそもロボットとは何を指すのでしょうか。ロボット3条件を満たす機械である事が求められます。すなわち、センサ、知能・制御、駆動系の3つです。端的に「知能化された機械システム」がロボットと呼ばれます。
作業内容に応じて様々なロボットが利用されますが、大きく分けると4種類のロボットが活躍しています。

直交ロボット
パラレルリンクロボットは下記の動画が分かりやすい
労働安全衛生法における産業用ロボット規制
労働安全衛生法は、労働災害から労働者を守る法律です。
ロボットは言われた通りにしか動きません。安全に配慮はされていますが、重大事故も毎年起こっているので、労働安全衛生法は厳しく遵守が求められています。
非常停止装置や自動停止装置
例えば産業用ロボットには必ず非常停止装置をつけなければなりません。ボタンを1回押すだけで動作が途中であっても緊急停止できる装置です。
また、油圧、空圧、電圧の変動を感知した場合、駆動源が停電等で停止した場合、関連機器に異常が生じた場合や制御装置に異常が発生した場合は自動的に停止し、再起動は必ず人間が手動で行う必要があります。
接触防止装置
産業用ロボットに労働者が接触することを避けるため、運転中のロボットに接触できない対策が必要です。
例えば柵または囲いを設置する場合は、ロボットの可動範囲の外側に設置し、簡単に侵入できないようにする必要があります。ロボットエリアに出入り口を設置する場合には、運転中に扉が開いた場合は非常停止し、また開いた状態での運転ができないようにしなければなりません。
または光線式安全装置(赤外線センサー等)を設置し、労働者の侵入を検知すれば速やかに停止する対策が必要です。
またはロープまたは鎖を設置したり、監視人を配置したりしなければなりません。
選択肢アについては、「必ず」という点が誤りとなります。産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術上の指針では、「さく又は囲い」「光線式安全装置」「ロープ又は鎖」「監視人」のいずれかの措置又はこれらと同等以上の措置を講ずること、と定められています。
教育
産業用ロボットの操作や教示(プログラム設定)は、必要な教育を受けた専任者のみが操作することが出来ます。
教育は学科教育と実技教育が必要となり、教育者は事業所の者でも可能で、必要に応じて外部の専門職が担当する場合も認められます。
教育内容には異常に対する対応を盛り込まなければならず、教育を実施した記録は3年以上の保管を必要とします。
よってエが正解となります。