第1問 ドメインの定義、および企業ドメインと事業ドメインの決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 事業ドメインに関する企業内の関係者間での合意を「ドメイン・コンセンサス」 と呼び、その形成には、トップマネジメントが周年記念の場などで、企業のあり方を簡潔に情報発信する必要がある。
イ 多角化している企業では、企業ドメインの決定は、競争戦略として差別化の方針を提供し、日常のオペレーションに直接関連する。
ウ 多角化せずに単一の事業を営む企業では、企業ドメインと事業ドメインは同義であり、全社戦略と競争戦略は一体化して策定できる。
エ ドメインの定義における機能的定義は、エーベルの3次元の顧客層に相当する 顧客ニーズと、それに対して自社の提供するサービス内容で定義する方法である。
オ ドメインの定義における物理的定義は、エーベルの3次元の技術ではなく、物理的存在である製品によってドメインを定義する。
ドメインとは?
ドメインは領域のことです。企業ドメインとは企業の方向性を分かりやすく言い表したものだと言えます。具体的ではなく抽象的な表現になり、それを元にして具体的な戦略を立てていきます。
ドメインは事業の広がりに大きく影響しますが、より企業成長に活かそうとするならば、企業内だけでなく、ステークホルダー(利害関係者)との間でも認識の共有をする必要があります。これをドメインコンセンサスと言います。
多角化をしている企業では事業領域が広がりすぎることがあります。この広がりをある程度促進・制限するのが企業ドメインであり、企業ドメインの範囲内において事業ドメインが提起されます。この事業ドメインが日常のオペレーションの方法や競争の差別化に大きく影響を与えています。
また多角化せず、1事業しかない企業の場合、企業ドメイン=事業ドメインの場合が多く、分けて考える必要がないケースもあります。
エーベルは事業ドメインを「顧客層」「顧客機能」「技術」の3次元で考える提唱をしています。簡単に言いすぎですが、誰に対して何をどう提供する会社になるか考えようというものです。
ドメインには物理的定義と機能的定義の2通りがあります。機能的定義のほうが成長性が高いとされます。
有名な話で言えば、ドリル販売業者は、物理的にはドリルを売っているけれども、機能的にはドリルで開けた「穴」を売っているのだ、というものがあります。
物理的定義で勝負をすると、ドリルを売り続けることから離れられませんが、機能的定義で勝負をすると、穴さえ開けられれば何でもよく、極端に言えば「穴を開けた」ものを売ることも考えられます。
ドメインは企業の今後のあり方を議論する上では重要な考え方の1つです。
正解はウとなります。