第2問 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 競争優位性のある「金のなる木」事業は、分野の将来性に大きな魅力はなく、さらなる資金投下には資金効率からの判断が必要である。
イ 市場成長率の高い「花形商品」事業からの大きな余剰資金と「問題児」事業の売却で得た資金は、衰退期に入った業界の「金のなる木」事業に集中的に投入して市場地位を維持することが重要である。
ウ 市場成長率の高い「花形商品」事業の生み出す余剰資金は大きいので、その資金を「問題児」事業に分散して投入を図ることが重要である。
エ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、事業への資金の投入量は自社の相対的な市場シェアで決まると考える。
オ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、キャッシュフローの観点から企業の事業戦略の方向性を示し、事業間のキャッシュフローのアンバランスを許容している。
PPM
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPMともいう)は、この文字が見えたらすぐに表を手書きできる程度まで落とし込むようにしたい話題です。
市場シェアと市場成長率のマトリクスですが、図を作る人によって市場シェアの高低、市場成長率の高低が入れ替わっている場合もあるので、しっかりと理解をしておきたいところです。
市場シェアも低ければ市場成長率も見込めない分野は「負け犬」です。どちらも低すぎて市場としての魅力が全くありません。残存者利益は見込めますが、企業の経営資源はできるだけ投入を避けたいジャンルです。
市場シェアは低いけれども市場成長率は期待できる分野は「問題児」です。市場シェアを上げさえすれば稼ぎ頭になってくれる将来の花形スター候補、ただ、今はまだ問題児。
市場シェアは高いけれども市場成長率が見込めないのは「金のなる木」です。手をかけなくてもお金がなるので枯れないように気をつけながら収穫だけに集中できる分野です。
市場シェアも高ければ市場成長も期待できるのが「花形」です。
例えば2018年現在において、市場成長率が期待できる分野は「EV/PHV/PHEV」つまり電気自動車でしょう。この業界で市場シェアが高い花形は「日産リーフ」です。ガソリン車は需要の減少と規制が広がりを見せており、市場成長率は伸び悩んでいます。日産の例で言えば、金のなる木や負け犬のガソリン車事業で得た資金を電気自動車に投資する流れが重要になります。
問題児を花形まで押し上げたり、研究開発をして花形を維持したりといった戦略が重要です。
ア についてはその通りです。
イ については「金のなる木」から「問題児」や「花形」への資金の流れが重要になる点で記述が誤りです。
ウ については売上も多いですが費用も多い「花形」は、そこで資金的余剰が生まれるとしても花形の維持のために費やすことになります。
エ については、PPMでは相対的な市場シェアからの資金投入量の配分ではなく、市場成長率によって決められます。極端なことを言えば、市場成長率が見込めない事業で得た利益は市場成長率の見込める分野に投資をしなさい、ということです。
オ については、事業間のキャッシュフローのアンバランスを是正しようとするものであるので誤りとみられます。