第14問
官僚制の逆機能といわれる現象に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 革新的な計画に抵抗するために、日常のルーティン対応を探し求める、グレシャムの法則。
イ 規則や手続きそのものを絶対視するような態度が、 杓子定規な画一的対応を 生み出す、形式主義。
ウ 組織全体の利益よりも、自分が所属する部局の利益を優先する、セクショナリズム。
エ 膨大な手続きと書類作成に煩わされる、繁文縟礼(はんぶんじょくれい)。
オ 本来は手段にすぎない規則や手続きが目的に転じてしまう、目的置換。
官僚制の逆機能
官僚制組織についての問題です。
その前に組織に関して少しおさらいをします。
組織とは、ある目的のために集められた、それぞれに役割が与えられ協働する二人以上の集団のことです。
ある目的とは共通目標・共通目的。その実現のためにそれぞれがコミュニケーションをとりながら、与えられた分野を専門分野としながら貢献する人々の集まりです。
構成された人は、ある程度の権限が与えられ、その権限の範囲の中で意思決定を行います。例えば今日の人員配置をどうするか、などは定型的意思決定と言われます。今後グローバルに活躍するために外国語を話せる人材を登用すべきか?など、戦略に関わるような、繰り返さない意思決定を非定型的意思決定といいます。
企業戦略の事を考えたいのに、日頃の業務が忙しすぎてそんな暇がない、という状態を計画のグレシャムの法則といいます。
グレシャムの法則とは、金銀銅貨などで、貨幣価値が同じであって、素材価値の違う貨幣があった場合(例えば1ドル金貨、1枚は純度99%の金貨で、もう一方は純度80%など)、市場に出回った場合、素材価値の高い貨幣は地金化されるなどで姿を消し、素材価値の低い貨幣のみが残るという現象。悪貨は良貨を駆逐する。
組織は共通の目的が必要ですが、それぞれの部門がこれを実現するために、「管理」という行為が必要になります。誰に何を管理させるのか、その最適な形を模索した結果が「組織編成」とも言えます。
規則や手続きについて徹底させる必要がある、前回の問題で言えば「共同負担的依存性」などですが、この場合はピラミッド型階層を形成します。強い権限を持った管理者によって徹底管理される組織です。これを官僚制組織といいます。
官僚制組織では構成員の権限は比較的弱まります。また意思決定の自由も多くありません。規則性や手続きの遵守を厳しく守らせるため、構成員の個性が埋没化しやすく、ルールを守る事が目的にすり替わります。イノベーションが起きにくくなり、組織力が停滞する要因となります。これを官僚制の逆機能と呼んでいます。
以上の点を踏まえて考察すると、正解(不適切)は ア となります。