平成28年企業経営理論

価格に関する問題 | 企業経営理論H28-27

第27問
価格に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア A さんは、ある家電専門店の店頭で 5,000 円のスマートフォンを目にした時、価格の安さに大きな驚きを感じた。その製品の詳細なスペック(仕様)を販売員に尋ね、購買に至った。これは「品質のバロメーター」としての価格が、消費者の購買意思決定を後押しした例である。

イ 一物一価の原則は常に存在するわけではない。購買の行われるタイミングや季節、地域、顧客区分、あるいは需要の動向によって、価格はある程度柔軟に変更される。

ウ 演奏家向けのバイオリンの製作者である B さんは、この数年、効率的に製作に取り組める工房を手に入れ、バイオリン1丁の生産に要する時間を1割程度削減した。そこで販売価格を1割下げたところ、受注が殺到している。これは価格のもつ「プレステージ」効果による。

エ 消費者にとって、価格には複数の意味があるとされる。そのうちのひとつが 「支出の痛み」である。どんなに価格を引き下げても消費者が購買に踏み切ることのできない状況を示すものである。

価格について

消費者が購入するにあたって直面する「価格」。この価格の意味には3つあるとされています。
1.支出の痛み
2.品質のバロメーター
3.プレステージ性

品質のバロメーターとは、「安物買いの銭失い」をかっこよく言ったものと理解しましょう。

Aさんは価格の安さに衝撃を受けたものの、しっかりと仕様確認をしているので品質と価格のバランスは把握していることになり、品質のバロメーターが後押しはしていません。

プレステージ性はスネ夫のようなものです。「パパに買ってもらったんだ(持ってるなんて)すごいだろ!」というものです。

誰もが簡単に購入できないからこそ、それを所有することによって社会的地位が上がる、価値が上がることを指します。

Bさんは1割価格を下げたことで受注が殺到したとされるが、1割下げる前のほうがプレステージ効果があったと言えます。

支出の痛みは財布の痛みです。支払うことが心理的苦痛を伴うということを意味するので、購買に踏み切ることのできない状況を示すというものではありません。

よってイ が正解です。