平成29年経営法務

民事留置権又は商事留置権 | 経営法務H29-16

第16問
A株式会社以下「A社」という。とB株式会社以下「B社」という。との間の民事留置権又は商事留置権に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア A社がB社に売却した機械 α の代金が、弁済期の到来にもかかわらず支払われていない状況で、B社がCに機械 α を売却した場合、A社が機械 α を引き渡さず占有しているとしても、機械 α は債務者であるB社の所有物ではなくなったことから、A社は機械 α について留置権を主張することができない。

イ A社がB社に売却した部品 α の代金が、弁済期の到来にもかかわらず支払われていない場合に、A社がB社に部品 α を引き渡したとしても、A社は部品 α について留置権を主張することができる。

ウ A社がB社に売却した不動産 α の代金が、弁済期の到来にもかかわらず支払われていない場合でも、A社がB社に不動産 α の登記を移転してしまうと、A 社は不動産 α について留置権を第三者に対抗できない。

エ 店舗で販売するために小売業者であるB社が卸売業者であるA社から購入した商品 α の代金が、弁済期の到来にもかかわらず支払われていない場合に、A社がB社から売買代金を受領し、引き渡すだけの状態にある商品 β について、A 社は留置権を主張することができる。

留置権について

民法295条に次のように定められています。

他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。


また留置権の要件として下記のように定められています。

  • 他人の物を占有していること(295条1項)。
  • 債権が目的物に関して生じたものであること(第295条1項)。
  • 債権が弁済期にあること(第295条1項)。
  • 占有が不法行為によって始まったのではないこと(第295条2項)。

アに関しては、A社がB社から支払いを受けていない状況において、債権が目的物に関して生じたものであるため、留置権について引き続き主張できると考えられます。

イに関しては、支払いを受けられていない状況ではあるものの、すでに占有している状況ではないことから、留置権を主張することはできません。

ウに関しては、登記を移転してしまったとしても、占有している状況であれば留置権を主張できます。所有権がなくとも留置できるのはその他の物品と同様です。

正解はエになります。