平成29年経営法務

消滅時効に関する問題 | 経営法務H29-17

第17問

消滅時効に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 主債務者が時効の利益を放棄した場合でも、その保証人は時効を援用することができる。

イ 時効の完成後に債務を承認したとしても、時効完成の事実を知らなかった場合には、時効を援用することができる。

ウ 内容証明郵便による請求をすれば時効の完成が6か月猶予されることになり、当該6か月が経過する直前に再度内容証明郵便による請求をすれば、さらに時効の完成が6か月猶予される。

エ 平成 29 年 1月 15 日に機械を売却し、その代金の弁済期を平成 29 年 2月 28 日 とした場合、代金債権の時効は平成 29 年 1月 15 日から進行する。

時効は主張しなければ債務取り消しとならない

「時効の援用」とは、時効制度を利用する事を相手に伝えることです。

借金がある場合、借りる際には保証人が必要になるケースがあります。問題文アの場合では、お金の貸し借りをした者同士が、時効にかかわらず貸借関係を継続する意向である場合でも、その保証人は時効を訴える事ができるか、という問いですが、これは正しいと言えます。

なお当事者の債務が時効の援用により消滅すれば、保証人の保証債務の対象がなくなり、こちらも消滅することとなります。

イに関して時効の完成後に債務を承認した、つまり支払う意思を示した場合については、その承認した日から再び時効計算が始まります。

ウについて、時効の中断に関する問題ですが、時効の中断には、承認・請求・差押、仮差押又は仮処分の3つの方法があるとされています。ただし、請求方法としては裁判所が行う必要があることから、今回の内容証明郵便だけでは不十分とみなされます。債権者が支払いを促す事は「催告」といわれる行為で、裁判所を通じなければ権利行使はできません。

エについては、起算日の問題に関してですが、時効は弁済期を過ぎてからとなります。平成29年2月28日までの弁済期であれば、平成29年3月1日から時効がスタートとなります。