平成29年経営法務

製造物責任法に関する問題 | 経営法務H29-18

第18問

製造物責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 魚の塩焼きは、製造物責任法に定める製造物に該当しない。

イ 製造物にその製造業者と誤認させるような氏名の表示をしただけの者は、製造物責任法上の責任を負わない。

ウ 被害者が損害又は賠償義務者を知らないまま、製造業者が製造物を引き渡した時から5年を経過したときは、当該製造業者に対する損害賠償請求はできなくなる。

エ 不動産は、製造物責任法に定める製造物に該当しない。

製造物責任法について

製造物は「製造又は加工された動産」であり、サービス、不動産(エが正しい)、無形物、未加工品(ア)は対象になりません。

製造物に欠陥があるだけでは製造物責任法による請求はできず、他人の生命、身体又は財産を侵害するなどの損害が発生する必要があります。またこの場合もその他民法に同じく、被害者側が欠陥の証明をしなければならないものとされます。

製造物の欠陥には3つの分類があり、「設計上の欠陥」、「製造上の欠陥」、「指示・警告上の欠陥」があります。

設計上の欠陥

設計上の欠陥は、そもそも設計段階で不備があるため、作られた製造物に欠陥が生じるものです。通常製造物のほとんどに影響が出ます。

製造上の欠陥

製造上の欠陥は、設計とは違う作り方をしたために製造物に欠陥が生じるものです。材料加工が不十分であったり、加工方法が作業者の独自のものになっているなど原因は様々で、製造日やロット単位など影響が出る事があります。

指示・警告上の欠陥

欠陥については取り除けないものの、使用方法を限定すれば安全に利用できるのに、その表示をしなかった場合の欠陥です。取扱説明書の禁止事項などはこの防止を目的としています。

製造業者の定義

製造業者は、その製造を請け負った者、輸入業者もこれに含まれます。

製造は手がけないものの、製造業者として名義提供したものや、製造業者と誤認させるような表記をした者は表示製造業者と呼ばれ、製造物責任を負います。(イ)

製造業者が複数存在する中で、実質的な製造業者と認められる表示をしたものを、実質的製造業者と呼び、同じく製造物責任を負います。

時効

被害者側は、製造物に過失があることを認識した日、償義務者を知ったときから3年での消滅となります。(ウ)

製造業者は、製造物を引き渡した時から10年での時効となります。