第18問
財務省によれば、わが国の 2013 年度末の公債残高は、GDP の2倍程度であり、財政再建の必要性が指摘されている。財政再建のためには、行政の効率化による支出削減と増税による収入増とを適切に組み合わせることが必要になろう。こうした状況を踏まえて、以下では税に関する経済モデルを考えている。下記の設問に答えよ。
設問1
いま、価格に反応しない垂直な需要曲線と一定の傾きを持つ供給曲線が、それぞれ実線の直線で下図に描かれている。このとき、政府が従量税を課すと、図中の点線の直線で示されているような形で課税後の供給曲線が描かれるものとする。この図に関する説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、以下では「税の大きさ」とは財1単位あたりの税を意味する。

解答群
ア 税収と税の大きさには図Aのような関係があり、課税による死重損失は発生しない。
イ 税収と税の大きさには図Bのような関係があり、課税によって死重損失が発生する。
ウ 税収と税の大きさには図Cのような関係があり、課税によって死重損失が発生する。
エ 税収と税の大きさには図Dのような関係があり、課税によって死重損失が発生する。
オ 税収と税の大きさには図Dのような関係があり、課税による死重損失は発生しない。
設問2
一般に、生活必需品 A に対する家計の需要曲線は、価格に対して非弾力的で
あり、下記の左図のように描くことができる。他方で、贅沢な嗜好品 B に対する家計の需要曲線は、価格に対して弾力的であり、下記の右図のように描くことができる。
企業による供給曲線は、これら A と B の2財において価格弾力性が十分に大きく(無限大)、水平な直線として描くことができるとする。このとき、政府によって企業へ従量税が課される場合の説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

解答群
ア 嗜好品 B への課税では、企業へ帰着する税の負担は、家計へ帰着する税の負担より大きい。
イ 嗜好品 B への課税では、企業へのみ税の負担が帰着する。
ウ 生活必需品 A への課税では、家計へのみ税の負担が帰着する。
エ 生活必需品 A への課税に比べて、嗜好品 B への課税は、死重損失が小さくなりやすい。
垂直な需要曲線に課税した場合

いま垂直な需要曲線が設定されています。これは価格がいくらであっても需要が変化しないというものです。
つまり課税されたとしても、売れる量には変化がない、という事になります。
言い換えれば、課税された場合、課税された分だけ税収が増えるという事です。
これを図で見た場合、Aになります。アが正解となります。
需要の価格弾力性の違い

課税後の供給曲線を赤い線で引いてみると、垂直な平行線が書けます。
企業は生産量を変化させても価格に転嫁できないので、需要の大小に関わらず価格を変化させることができません。
つまり課税をされたとしても価格を変化させる事はできないので、課税額分は家計が負担することになります。
ウが正解となります。