第23問
下表は、公正取引委員会「生産・出荷集中度調査」より、平成 23 年度と平成 24 年度における、液晶パネル製造業とインターネット広告代理業における累積生産集中度の値を抜き出したものである。下表の解釈として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

解答群
ア 平成 23 年度のインターネット広告代理業では、上位 10 社の企業で市場を占拠している。
イ 平成 24 年度のインターネット広告代理業では、平成 23 年度と比較して、上位5社の企業によって占拠される割合が小さくなった。
ウ 平成 24 年度の液晶パネル製造業では、10 社を超える企業の競争状態にある。
エ 平成 24 年度の液晶パネル製造業では、平成 23 年度と比較して、上位3社の企業によって占拠される割合が大きくなった。
生産集中度調査はなぜ必要か?
公正取引委員会が取りまとめる調査「生産集中度」。同会HPには次のように目的を説明されています。
生産・出荷集中度調査は,我が国の主要産業における経済力集中の実態を把握することにより,独占禁止法の適切かつ円滑な運用を始めとする競争政策の企画・立案のための基礎的な資料を得るために,製造業及び非製造業における生産・出荷の状況等について2年ごとに行うものです。
https://www.jftc.go.jp/soshiki/kyotsukoukai/ruiseki/index.html
生産・出荷集中度調査から見えるのは、業界がどの程度競争状態にあるかという事です。公正取引委員会はこの調査をもとに寡占状態にあるかどうかを定義しています。
なお、CRはconcentration ratio の略です。CR3は上位3社の累積集中度を意味します。上位3社でどれほどの市場シェアを占めているか、という事です。
生産集中度を見て、市場が円滑で適正な競争状態にあるかを判断するために必要になります。
問題は表の見方を問われている
表の見方は次のように見る事ができます

アの解説
平成23年度のインターネット広告代理業では、上位10社の企業で市場を占拠している。
平成23年度のインターネット広告代理業では、CR10が81.5%となっています。これは残り18.5%を11社目以降が争っているという事を意味します。よって誤りです。
イの解説
平成24年度のインターネット広告代理業では、平成23年度と比較して、上位5社の企業によって占拠される割合が小さくなった。
平成24年度のCR5は、23年度から1.3ポイント上昇しています。これはその分だけ上位5社がシェアを拡大した、という事になるのでこれも誤りです。
ウの解説
平成 24 年度の液晶パネル製造業では、10 社を超える企業の競争状態にある。
平成24年度のCR10は100%になっています。これは上位10社以下しかプレイヤーが存在していない事を意味しています。誤りです。
エの解説
平成 24 年度の液晶パネル製造業では、平成 23 年度と比較して、上位3社の企業によって占拠される割合が大きくなった。
平成24年度は23年度よりCR3が0.1ポイント上昇しています。市場シェアが上昇している(占領される割合が大きくなっている)ので、正解となります。