第20問
いま、ある1つの投入要素のみを使って、1つの生産財を生産する企業を考える。この企業の生産活動を規定する生産関数は、下図のような形状をしているものとし、要素投入量はゼロより大きい。下図に関する記述として、最も適切なものの 組み合わせを下記の解答群から選べ。なお、ある要素投入量 X に対する生産量が Y であるとき、Y/X を「平均生産物」と呼び、ある要素投入量に対応する生産関数の接線の傾きを「限界生産物」と呼ぶこととする。
a 平均生産物の大きさは、要素投入量が増えるほど小さくなる。
b 限界生産物の大きさは、要素投入量には依存しない。
c どの要素投入量においても、平均生産物の大きさは、限界生産物の大きさよりも大きい。
d 要素投入量がある程度まで大きくなると、限界生産物の大きさは、平均生産物の大きさよりも大きくなる。
解答群
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
このグラフを読み解くと、最初の投入時には少ない投入量で多くの生産ができます(横軸を少し進むと縦に大きく伸びる)。
しかし、次第に投入量を多くしても生産数が伸びなくなります(横軸を大きく移動しないと縦の高さが確保できない)。
1つずつ見ていきましょう。
aについては、平均生産物の大きさがY/Xとして与えられています。単純にグラフに数値を入れて考えても答えは見えてきますが、グラフは典型的な収穫逓減になっていますから、要素投入量(X)が増えるほどYの伸び率が少なくなっていきますから、Y/Xは小さくなります。(a=正)
bについては、限界生産物の大きさは、要素投入量には依存しています。1生産しようとすると、次第に要素投入量がたくさん必要になっていきます。(b=誤)
cについては、どの要素投入量においても、平均生産物の大きさは、限界生産物の大きさよりも大きいかどうか、これは角度の比較によって検証することができます。今、平均生産物の大きさがY/Xですから、Xが任意の幅進んだ時の、原点からYまでの角度が、そのXの生産量の時の生産関数の限界生産性角度よりも大きいか小さいかという比較で可能です。「平均」より少ない収穫になるのだから徐々に減っていく「収穫逓減」になると考えても合点がいきます。(c=正)
dについてもcと同様に比較して求められますが、限界生産物の大きさが平均生産物より大きくなると、収穫逓増になります。
aとcが正しいので、正解はアとなります。