平成28年経済学

効率賃金理論の問題 | 経済H28-6

第6問 賃金に関する考え方の1つに効率賃金理論がある。効率賃金理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 企業が支払う効率賃金の下で完全雇用が実現すると主張する。

イ 均衡賃金に等しい水準の賃金を支払うことが企業の効率的な生産につながると主張する。

ウ 均衡賃金を超える水準の賃金を支払うことが生産性を高め、企業の利潤を増やすと主張する。

エ 均衡賃金を下回る水準の賃金を支払うことが生産性を高め、企業の利潤を増やすと主張する。

効率賃金とは何か

賃金が低いと労働者は働かなくなるなど、生産性を落とします。そのため、生産性を上昇させようとすると、企業の均衡賃金を上回る価格を支払うことになります。それを効率賃金と呼びます。

ここでいう均衡賃金は、労働需要と労働供給が一致する価格のことです。労働需要は企業側の求人、労働供給は労働者側を意味します。

労働需要は、賃金が安ければ安いほど増えます。一方で、労働者は安ければ働きたくないと思うので賃金が安いほど減ります。賃金によって需要が多いのに供給が少ないという状態で労働余剰が生まれます。一般的に失業と言われるものです。

生産性を高めようとすると均衡賃金を超える額を支払うことになりますが、そうすると労働需要が減少し、労働供給が増加してしまいます。企業内では効率を上げようとすることから人手を減らすことを考慮するので、結果としてここでも失業が発生します。

そのため、効率賃金の下では完全雇用は成立せず、自らの意思によらない失業が発生することになります。ただその際人手が減り効率が上がることから企業の利潤は増加することになります。

以上のことから正解はウとなります。