平成29年経済学

ゲーム理論 | 経済H29-17

第17問
日本は諸外国に比べて労働時間が長いため、休日の過ごし方が重要である。ある 共働きの夫婦について休日の過ごし方を考える。夫の趣味は水泳であり、妻の趣味 はジョギングである。2人とも自分の好きなことに付き合って欲しいので、基本的には、別々の行動はとりたくない。下表の利得マトリックスは、夫婦の戦略(水泳とジョギング)とそれにより得られる利得を示したものである。カッコ内の左側が 夫の利得、右側が妻の利得である。

このゲームに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a このゲームには、支配戦略がある。

b 夫と妻がともに水泳をするとき、夫と妻のどちらかが戦略を変えると、戦略を変えた方の利得が下がるので、(水泳,水泳)はナッシュ均衡である。

c 夫と妻がそれぞれ自分の趣味を選ぶとき、夫と妻のどちらかが戦略を変える と、戦略を変えた方の利得が下がるので、(水泳,ジョギング)はナッシュ均衡である。

d 夫の戦略としては、妻がジョギングがよいといえばジョギングに行くのがよく、また、水泳がよいといえば水泳に行くのがよい。

解答群
ア aとb イ aとd ウ bとc エ bとd

ゲーム理論

ゲーム理論は自分が不利な立場をとった時に相手がどの選択をしてくるのかを数字上で判断するもの。自分が不利(数字が小さい選択)をした場合に、相手はより大きな数字の選択をすることで、思い通りの動きを狙うことができる。

自分が不利な時に相手が選ぶ選択、相手が不利な時に自分が選ぶ選択が一致する場合を、ナッシュ均衡と呼ぶ。

例えば夫の選択可能なものとして、水泳とジョギングがあり、水泳を選ぶと「30」、ジョギングを選ぶと「2」になります。あえて不利になる2のジョギングを選んだ場合の妻の出方を探る、というのがゲーム理論です。ジョギングを選んだ場合、妻は水泳12、ジョギング30なのでジョギングを選びます。

妻の場合は水泳15、ジョギング12なので、妻の不利なジョギングを選択するとして、夫は水泳10、ジョギング15でジョギングを選ぶことになります。よってジョギングはナッシュ均衡になります。

また、いずれも水泳を選べば水泳を選ぶので、水泳同士もナッシュ均衡となります。

よって、bとdが正しく、エが正解となります。