平成29年経済学

経常収支の内訳に関する問題 | 経済H29-2

第2問
下図は、2000 年以降の日本の経常収支の推移を示している。経常収支は、貿易・サービス収支、第1次所得収支、第2次所得収支から構成される。 図中のa〜cのうち、貿易・サービス収支と第&次所得収支に該当するものの組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

解答群
ア 貿易・サービス収支:a 第1次所得収支:b
イ 貿易・サービス収支:a 第1次所得収支:c
ウ 貿易・サービス収支:b 第1次所得収支:a
エ 貿易・サービス収支:c 第1次所得収支:a
オ 貿易・サービス収支:c 第1次所得収支:b

経常収支は海外取引での成績

経常収支は、日本が海外と取引をした結果、どの程度黒字・赤字であったかを示す指標として使われます。

貿易収支は、輸出した額から輸入した額を引いたものです。これが黒字だと貿易黒字になります。

サービス収支は、主に旅行客に対するもので、訪日外国人が日本に使ったお金から、日本人が海外で使ったお金を引いたものです。2015年頃から爆買いの影響で赤字額が減少に転じました。

第一次所得は、海外に投資したものの利子・配当金、海外に進出した日本企業の売り上げなどです。

第二次所得は、日本が海外に資金協力や寄付した金額などで、基本的に日本は常に赤字です。

下の表は平成29年度中 国際収支状況(速報)の概要で、財務省が発表しているものです。

日本の稼ぎ頭は第一次所得収支

経済産業省は次のように述べています。
「製造業による経常収支への貢献という観点では、輸出による貿易収支への貢献が注目されがちであるが、海外での稼ぎ頭は、第一次所得収支である。」

また日本の保有する米国債を含む外国債券もこれに大きく寄与しており、長年黒字で経常収支を牽引しています。

貿易収支はなぜ赤字転落したのか

貿易収支は2011年以降赤字額を拡大させました。これはいくつか理由はありますが、大きなところでは原子力発電所の停止に伴い、代替エネルギーの輸入に伴う費用増加が原因だと言われています。2015年以降再稼働が始まり、赤字額は減少しています。

問題をとこう

正解はウとなります。基本的に第二次所得収支は赤字であることがわかれば、cがこれに該当するのは明らかです。2011年以降の赤字拡大の背景、黒字拡大の背景が分かっていれば、この辺りは腑に落ちるかと思われます。