第22問
技術革新およびその奨励政策に関する理論的記述として、最も適切なものはどれか。
ア 新しいビジネスモデルのようなアイデアの限界費用がゼロであるとする。このとき、競争市場においては、効率性の観点から判断すると、社会に対して無償で提供されるのが望ましい。
イ 企業の生産設備は、償却可能資産であり、経年減価する。したがって、競争市場においては、法人税で加速度償却を認めることに企業の設備投資を促す効果はない。
ウ 基礎研究は、社会に大きな利益をもたらすとき、外部経済効果を有することになる。したがって、競争市場においては、基礎研究への政府による補助金は企業に基礎研究への取り組みを促す効果を期待できない。
エ 研究開発費が固定費用であるとき、研究開発に多額の費用を要する企業は多額のサンクコストを抱えることになる。したがって、競争市場においては、政府が研究開発費に補助金を支給したとしても、新規企業の参入による研究開発の促進は期待できない。
限界費用がゼロ、という点に関しては、固定費用がゼロというわけではなく、あくまでも可変費用がゼロというもので、将来的に無料になる、というビジネスモデルの話。IoTなどで加速する限界費用ゼロ社会では、企業の利益ではなく公共の利益を追求する社会になるので、結果的に資本主義社会の衰退につながり、新たな社会が生まれるものと期待されています。