平成29年経済学

需給ギャップに関する記述 | 経済H29-5

第5問
需給ギャップ(GDP ギャップ)は景気や物価の動向を把握するための有効な指標であり、マクロ経済政策の判断において重要な役割を果たしている。日本では、内閣府や日本銀行などがこれを推計し、公表している。需給ギャップに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア オークンの法則によれば、需給ギャップがプラスのとき、雇用市場は過少雇用の状態にあると考えられる。

イ 需給ギャップのプラスが拡大しているとき、物価はディスインフレーションの状態にあると考えられる。

ウ 需給ギャップのマイナスが拡大しているとき、景気は後退していると考えられる。

エ 需給ギャップは、(潜在GDP – 実際のGDP)÷実際のGDP によって計算される。

需給ギャップとは何か

2018年3月の産経新聞に「29年の需給ギャップ、9年ぶりプラス デフレ脱却判断に環境整う」というニュースが掲載されました。

需給ギャップは総需要と供給力の差のことです。総需要はGDP、国内総生産で表され、供給力は労働力や製造設備等によって表されます。

需給ギャップがプラスというのは設備投資が積極的に行われたり、消費が積極的に行われる時にプラスとなり、一般的にインフレ傾向となります。

一方で、需給ギャップがマイナスなのは、設備や人員が余った状態であり、デフレ局面にマイナスとなります。

問題をとこう

ア について、オークンの法則は後述するとして、需給ギャップがプラスの時は雇用市場は人が積極的に雇われるので、過少ではないと言えます。

イ について、需給ギャップのプラスが拡大している、とあるので、インフレーション拡大状態であるので、ディスインフレーションの状態とは言えません。

ウ 需給ギャップのマイナスが拡大しているときは、デフレになっているため、景気は後退していると考えられます。

エ 需給ギャップは、(実際のGDP-潜在GDP)÷潜在GDPによって計算されます。

よってウが正解になります。

オークンの法則は、実質GDP成長率が上昇すると、失業率は低下するというオークンによる経験則が元となった理論です。上昇率や低下率は国によって異なるとされています。

またディスインフレーションとは、インフレーションの状態にあるものの、物価上昇率が縮小傾向にある段階を指します。