平成29年経済学

総需要とGDP | 経済H29-4

第4問
GDP は、国の経済の大きさを測る際に利用される代表的な尺度のひとつである。GDP を需要サイドから捉えたものは総需要と呼ばれる。以下の設問に答えよ。

設問1
総需要は、民間消費、民間投資、政府支出、純輸出から構成される。下図は、2000 年度以降の日本の総需要の構成割合を表している。 図中のa〜cに該当するものの組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

解答群
ア a:純輸出 b 政府消費 c:民間投資
イ a:政府支出 b:純輸出 c:民間投資
ウ a:政府支出 b:民間消費 c:純輸出
エ a:民間投資 b:純輸出 c:政府支出
オ a:民間投資 b:政府消費 c:純輸出

設問2
総需要の大きさは、均衡 GDP の決定にとって重要である。総需要と均衡 GDPの関係は、下図のような 45 度線図によって表すことができる。下図で、YF は完全雇用 GDP、YE は現実の GDP、AD は総需要である。総需要線が AD0 から AD1 に上方シフトすることで完全雇用 GDP を実現できる。
このとき、乗数の大きさを表すものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ

設問1については少しわかりづらい問題かもしれませんが、2問目の問題が解ければ少し考えがまとまると思われます。まず2011年以降にマイナスになるcに関しては、純輸出であろうと推測ができます。この理由に関しては2問目にもあった通り、原子力発電所の停止に伴う代替エネルギーの輸入増によるものです。

では残る政府支出と民間消費、民間投資に関してですが、aに着目するとここ数年間の割合の変化がほとんどありません。これは景気にさほど左右されないものであると推測ができますから、民間消費ではなく政府支出であろうと思われます。

a,政府支出、c,純輸出であるのはウだけですので、回答はウとなります。

設問2に関しては、乗数効果の計算式を理解しているのかが問われています。
乗数効果とは、有効需要を増加させた時に、その増価額よりも所得が拡大することです。所得増加分÷需要増加額 で求めることができます。これは、投資した額がどれほどの収益になって返ってきたのかを知りたいためです。

今、現実のGDPであるYEのところに点Eがあります。これを上方シフトさせれば完全雇用GDPが達成できるとあるので、点Eを点Fまで持っていきたいことがわかります。

まずは所得の増加分を知らなければなりません。この時YEからYFへ所得が増えています。つまりAEが所得増加分(分子)になります。

次に需要の増加分を知らなければなりません。総需要線AD0を見ると、所得がAFに増えた場合の総需要がBであると分かります。これが上方シフトしてFになるわけですから、需要増加分はBFとなります。

乗数効果はAE/BF、なのですが、選択肢にはありませんね。ここで総需要と均衡GDPの関係が45度線で示されています。中学校の問題になりますが、直角二等辺三角形は、1:1:ルート2の割合でしたよね。なので、AEとAFは同じ長さだと言えます。よって、AF/BFと同じであるので、答えはエになります。