
新入社員に読んでもらいたい一冊がこの「地頭力を鍛える」という本です。
この一冊を真面目に取り入れれば、上司とのコミュニケーション能力に苦しむ事が激減する事でしょう。
この本を読めば
・上司の無茶ぶりが怖くなくなる
・成果物の提出で再提出が減る
・上司との温度差が少なくなる
・仕事の進め方が効率的になる
・話が面白いねと言われる
というような変化が期待できます。
また、
・話が長い
・要領が悪い
・仕事が遅い
・的外れな仕事をするな
と言われている場合は、一読を勧めます。
地頭力とは何か
本書の中で地頭力は「あらゆる問題解決をする上での基本となる考える力」と定義されています。
職場、特に採用の場面でこの地頭力を重視する会社は少なくなく、育てがいのある人物、応用力のある人物、粘りのある人物、変化対応能力が高い人物、などととらえられる事もあります。
経験上、その場である程度の答えをひねり出せる人、という捉え方が多いように思います。
仕事では「今」が最も価値ある時間
仕事をしていくと、上司から仕事の進捗状況を聞かれる事が少なくありません。
「あれどうなってるの?」
「いつまでに終わりそう?」
製造業の場合、1つの仕事の納期は数秒から数分です。長い場合でも数時間というのが一般的な長さです。トヨタ自動車で車1台を作る時間は17~18時間と言われています。
対してサービス業などデスクワークの場合、1つの仕事の長さが数日から数週間、数カ月といった納期は珍しくありません。
納期が長ければ長いほど、進捗管理が重要になってきますが、やみくもに動くのではなく、ある程度方向性を決めて動かなければなりません。
とりあえずデータを集めるのではなく、必要なデータのみを集めてまとめる、その時にこそ本書が生きてきます。
問題解決能力は鍛えられる
この本の帯にも書かれていますが、「日本全国に電柱は何本ありますか?」と聞かれた場合、3分間でどんな回答を出しますか?
曖昧でも何となくでも構いません。答えを出そうとする事が重要です。
「そんなのネットで検索すればすぐに分かる事」というのは確かにその通りです。それこそまさに本書が危惧する状態です。
仕事ではすべてネットに答えがある事ばかりではありません。
A支店はA市内でのシェアがどれくらいか?
市内での見込み客は大体何人か?
C支店をオープンさせると売り上げはどの程度見込めるか?
「ちょっと出しといてくれ」と言われたら、これはネットには答えがありません。だからこそ考える力、土台作りが大事なのです。
幸いな事に、この地頭力は鍛えられます。
鍛えるための例題が簡単に作れるフェルミ推定
フェルミ推定とは、Wikipediaによれば「実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す。」と定義されています。
先ほどの、全国の電柱も、普通は知っている人はいません。それを導き出そうと考える、どう考えればそれに近しい答えになるかを考えることで地頭力が鍛えられる、というものです。
テーマは電柱でなくとも良く、自分で作る事も可能です。本書にもいくつか例題を用意されているので、それを解くのも良いでしょう。
入社してから多くの新入社員が試される問題に「この店の売り上げを予想してみろ」というものがあります。ふと入ったレストランなどで昼食がてら聞かれたりします。
それこそまさにフェルミ推定、地頭力が試されています。
機転の利く人と言われるようになる

入社面接でも地頭力を試されるシーンは少なくありません。
「私に商品を売り込んでください」
「売り上げを上げるキャンペーンを作ってください」
「この水にキャッチコピーをつけてください」
とっさに何かを聞かれた時に、おおまかにでも即答できれば、機転が利くという評価を得る事ができます。
逆にこれらの質問に「明日回答します」などと言おうものなら面接なら受かりませんし、日常会話ならどんくさい人と評価されるかもしれません。
トレーニングをすることで、どんな難題、無茶ぶりが飛んできても、即座に道筋をたて、対処することが出来るようになるはずです。
頼られる人物になれる本
本書はビジネスコンサルタントの細谷氏によって書き上げられたものです。インターネットで便利になった時代、あらゆる情報がネットで手に入る反面、考える力がどんどん弱くなっている事への危惧がページに表されています。
調査を依頼された新入社員が「Googleで出ないのでそれはありません」と答えたという笑い話もありますが、笑えない状況がまさに今迫ってきています。
ネットで調べられる事だけなら良いですが、一歩そこから外れた時に、頼られる人物は、まったく白紙の地図に道筋を描け、最短距離で目標まで導ける人です。とっさの質問にも動じず、即答できる人物です。
地球上のすべての知識を得る事はできません。一部知識自慢・記憶自慢もいますが、多くの場合は記憶力もさほど自信がなく、蓄積している情報も精度の怪しい物ばかりです。
それでも仕事では瞬発力が求められる場合が往々にしてあるので、こうした解決方法を知っておけば、将来的に強い味方になってくれるのは間違いありません。