平成28年財務会計

先入先出法の仕入原価計算 | 財務会計H28-1

第1問
6月の A 商品に関する仕入および売上は以下のとおりである。先入先出法を採用しているとき、6月の売上原価として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

解答群

ア 2,950 円

イ 8,650 円

ウ 9,600 円

エ 15,000 円

先入先出法は、先に仕入れたものから先に出して計上するというものです。食品加工現場などでは賞味期限の関係上、先に仕入れた食材から先に使っていかなければならないので、そのような処理をします。

ちなみに後入先出法は、最近仕入れたものから先に使用する場合に採用されます。仕入れ商品の質が変わらないような、例えば建設資材などでは、商品を積み上げて保管し、上のものから出て行くのでこの処理方法を採用するケースがあります。

移動平均法は、仕入れたものの平均を常に計算して使用します。ガソリンスタンドなどは地下タンクで一括保管されますから、先に仕入れたものと後で仕入れたものが混ざります。そのような現場では移動平均法が採用されます。

業種によって決められているわけではありませんが、実際に即した計上方法を採用することで、より正確な会計につながります。

今回の問題を見てみましょう。

売上原価=期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高

機首棚卸高・・・ 10個×200円 = 2,000円
当期仕入れ・・ 6/3 50個×190円 = 9,500円
6/11 10個x210円 = 2,100円
       6/24 -5個×210円 = -1,050円

期末棚卸数量・・・15個

機首棚卸高は10個で単価200円なので合計2,000円分の商品がありました。6月3日に50個を190円、合計9,500円で仕入れ、この時の合計は60個となります。

6月5日に30個が売れました。この時の原価を見ると、30個のうち10個は2,000円分で先に仕入れたもの、残り20個は3日に仕入れた50個から出されますから、この時点で残りは30個×190円です。

6月11日に10個210円で仕入れ、この時点で40個の在庫となります。

6月20日には20個が売れました。この20個は先に仕入れていた30個×190円から出されます。ですから、20日時点での内訳は10個×190円と10個×210円の合計20個となります。

6月24日には210円で仕入れたうちの5個が返品されていますから、合計15個となりますね。

先入先出法で売れたものから差し引いても9600円で答えは出ますが、ここは式に基づいてもう一度考えて見ましょう。

機首棚卸高が2000円
今月仕入高が9500円+2100円-1050円=10550円
期末棚卸高が1900円+1050円=2950円

2000+10550-2950=9600円

答えはウになります。