財務・会計

資本金と繰越利益剰余金の計算問題 | 財務会計H28-5

第5問 次の資料に基づいて、下記の設問に答えよ。

期中取引(発生順)
1.増資にあたり、株式 300 株を1株当たり 70 千円の価格で発行し、払込金は当座預金とした。

なお、会社法が定める最低額を資本金とした。また、株式募集のための費用150 千円を小切手を振出して支払った。

2.株主総会が開催され、繰越利益剰余金の分配を次のように決定した。

1 利益準備金 会社法が定める最低額
2 配当金 800 千円
3 別途積立金 180 千円

設問1 期中取引が終わった時点の資本金の金額として、最も適切なものはどれか。

ア 90,500 千円

イ 90,650 千円

ウ 101,000 千円

エ 101,150 千円

資本金と利益準備金の計上額についての理解が求められる問題です。

1.期中取引としては、増資のために300株×70千円で21,000千円を払込金で当座預金に振込。
2.資本金は払込金の2分の1を超えない額を資本準備金に組み入れられる。よって資本金とできる最低額は2分の1。
3.150千円が株式募集のための費用で小切手払い。

4.利益準備金は配当する額の10分の1か、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまでの分のいずれか少ない方。
5.配当金 800千円
6.別途積立金 180千円

まず1.と2.は同時に考えます。仕分けをすると、

当座預金 21,000千円 資本金 10,500千円
資本準備金 10,500千円

ということになります。
3.のステップ、150千円の株式募集の費用は、株式交付費(繰延資産-減価償却か、営業外費用)となります。小切手払いなので当座預金からの引き落としになります。

株式交付費 150千円 当座預金 150千円

4.5.のステップですが、配当金が発生しています。800千円です。

さて、配当をする際の積立には以下のルールがあります。
・配当の10分の1の額
・利益準備金、資本準備金の合算が資本金の4分の1に達するまで
このいずれか少ない方を利益準備金として計上します。

先ほど増資をしましたので、配当前の時点での資本金の額は90,500千円です。
よって答えはアになります。

設問2 期中取引が終わった時点の繰越利益剰余金の金額として、最も適切なものはどれか。

ア 120千円

イ 140千円

ウ 184千円

エ 220千円

設問1より、資本金の額は90,500千円です。この4分の1の額は22,625千円。
利益準備金と資本準備金の合計が6,000千円+10,500円なので、16,500円となり、資本金の4分の1の額までの差額は6,125千円です。

よって、配当の10分の1の額の80千円のほうが少ないので、80千円を積み立てます。

これで準備が整いました。繰越利益剰余金の計算を始めましょう。
期中取引された繰越利益剰余金勘定と対するものが下記の通りになります。

繰越利益剰余金 1060千円 利益準備金 80千円
未払配当金 800千円
別途積立金 180千円

これが繰越利益剰余金から出て行く金額です。よって期初の1200千円-1060千円=140千円が期中取引後の金額となり、答えはイになります。