財務・会計

全部原価計算と直接原価計算の差 | 財務会計H28-8

第8問 次の資料に基づいて、下記の設問に答えよ。

設問1 資料に関する説明の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 全部原価計算を採用した場合、第1期と第2期の営業利益は同じである。

b 第1期では、全部原価計算を採用した場合の営業利益の方が、直接原価計算を採用した場合よりも大きい。

c 第2期では、全部原価計算を採用した場合の営業利益の方が、直接原価計算を採用した場合よりも大きい。

d 直接原価計算を採用した場合、第1期と第2期の営業利益は同じである。

解答群
ア aとb

イ aとc

ウ bとd

エ cとd

全部原価計算は製造・サービスに関わる部分全部を製品原価に含めます。製造業において製品原価は製造原価、販売費および一般管理費を含めます。なおこの3つの原価をまとめて総原価といいます。

直接原価計算では、変動費と固定費のうち変動費を製品原価として原価計算を行い、固定費は期間原価に含めます。

全部原価計算で計算する

1期目の全部原価計算

1期目の全部原価計算をするにあたって、計算する要素を確認しましょう。

1.原価計算する個数、100個。
2.(変動費600円+固定費33,000/生産量110個)で1個あたりの原価計算
3.1期目の全部原価は(600+300)×100=90,000円となる。

2期目の全部原価計算

1.原価計算する個数、100個
2.期首の10個の原価は1個900円でしたので、期首原価は9,000円。
3.2期目生産90個×変動費600円+33,000≡87,000
3.2期目の全部原価は9,000+87,000=96,000となる。

1期目と2期目の原価比較

販売金額はいずれも10万円なので、単純に原価金額で判断ができます。
1期目90000円の全部原価で営業利益は10,000円
2期目96600円の全部原価で営業利益は4,000円

1期目のほうが利益は大きくなり、「a」の選択肢は無くなりました。

直接原価計算で計算する…までもない

直接原価計算では、変動費のみを原価として計上するので、変動費はいずれの期も600円でしたので、製品原価はいずれも60,000円、営業利益はこれに固定費33,000円を加算したものを差し引くので、100,000-93,000=7,000円でいずれも等しくなります。

よって「d」の選択肢は正しいとなります。

さて、営業利益は1期目では全部原価計算のほうが大きくなりましたから、「b」が正しいとなります。

以上より、解答群「ウ」が正しいと導き出せるわけです。

設問2 第2期の損益分岐点比率として最も適切なものはどれか。

ア 17.5%

イ 45.0%

ウ 55.0%

エ 82.5%

損益分岐点比率=損益分岐点売上高/実際売上高

損益分岐点は、利益がちょうど0になる、売上=費用となる点です。

損益分岐点売上高とは、利益が出ないけれども、変動費も支払えて、固定費もまかなえる、そんな売上高のことです。

変動費は1個売るごとに増えていくものなので、売上高に占める変動費の割合があるとすれば、売上高からその割合を引いたら固定費分が出ますよね。1-変動比率というのは、一方で売上に占める固定費と利益の割合を示します。1個売ったらどれだけ固定費の回収と利益に回せるのか、ということです。

さて、損益分岐点になる売上高が分からない、でも固定費と1個あたりの変動費が分かっているよ、というケース。

商品を1個売ったときに、1個分の販売金額を1として、変動費率分と固定費分に分けましょう。変動費は毎回発生するので先に確保しましょう。1ー変動費率分=固定費の回収に充てられる資金分 が出てきます。

つまり、損益分岐点売上高とは、1個売った時に固定費回収に回せる貯金を何度繰り返したら返済できるか、という地点のことです。これを小難しく式にしたものが、

損益分岐点売上高=固定費/1-変動比率 となるものです。

理解がしづらいところですが、分かってしまえば簡単な話です。

問題を解こう

さて、今回損益分岐点比率の前に、損益分岐点売上高は分かっていません。

・販売価格は1,000円
・変動費は1個600円
・固定費は33,000円

ということになります。つまり、1個1000円の商品を販売すると、仕事するために1期あたり33,000円が人件費やら設備やらで必要になり、1個あたり600円の材料費などが必要になるよ、ということです。

変動費を除くと、1個売るごとに400円が生まれるので、まずはこの400円で33000円を支払っていきたいから、そのために必要な売上高を教えてください、と考えれば良いことになりますね。

1個あたり400円とすると、33000円を400で割ると82.5、と出ます。つまり1個1000円の商品を82.5回売れば、固定費分も変動費分も支払えますよ、ということです。82.5×1,000=82,500円が損益分岐点売上高となります。

損益分岐点比率は、損益分岐点が売上高に対してどれくらい占めているのかですから、2期の販売数量100個×1,000円に占める82,500円の割合を求めれば良いので、82.5%が答えとなるわけですね。

答えはエです。